西施が病んでいたのは心?それとも心臓?

西施(西夷光)とは

楊貴妃や貂蝉、王昭君と並んで中国四大美女のひとりに数えられる西施は、本名を「西夷光」といいます。

戦国時代(紀元前約500年頃)に存在していたとされる女性で、日本では「西施の顰みにならう」という故事成語でその名前を知っている人も多いのではないでしょうか。

「他人をむやみに真似て、かえって人に笑われてしまう」という意味で、中国語では「东施效颦」( dōng shī xiào pín )という言葉でもおなじみです。

「东施效颦」の故事や出典については記事「东施效颦」に詳しくまとめてありますので、ぜひ読んで見てくださいね。

さて、「沈魚」という言葉の通り、川の魚が泳ぐのを忘れて川底に沈んでしまうほどに美しかったと言われる西施ですが、実は若い頃からある病に冒されていました。

古書にはその詳しい病名については書かれていないのですが、「西施の顰みにならう」の故事からもわかるように、彼女はいつも眉をひそめながら「胸元」に手をあてていました。

日本語の解説を読んでいるとそのほとんどが「胸」または「胸元」に手をあてていたと書いているので、「あれ?ひょっとして西施は心臓が悪かったのかな」なんて考えたことはないでしょうか。

しかし、中国語の解説では西施が押さえていたのは「心口」( xīn kǒu )または「胸口」( xiōng kǒu )となっていて、つまり、「みぞおち」に手をあてていたということになります。

確かに「胸口」には「みぞおち」の他に「胸元」の意味もありますが、中国語の解説では「胸口」は「指胸骨下端附近,胸部」(胸骨の下あたり、胸部)となっています。

たしかに「胸部」という意味もありますが、そこは文脈によるのだと思います。

ですので、この記事では「胸口」を文脈によって「みぞおち」または「胸部」と解釈したいと思います。

最初のほうであれこれ考えすぎても先に話が進まないので、西施が手をあてていた部分が「胸」と「みぞおち」の両方だったと仮定して、そこから西施が何の病気だったのかというのを「心臓」「胃」「心」「その他」の4つにわけて、私なりにまとめていきたいと思います。

ちなみに最初に断っておきますが、私は医学の「い」の字も知りませんし、あくまでもインターネットで調べた情報や知識をもとにこの記事を書いていますのであらかじめご了承ください。

それでは西施が患っていたであろう病について見ていきましょう。

西施の病:心臓

【僧帽弁逸脱症(MVP)】

肺で酸素を「補給」した血液はまず左心房・左心室を通ってから全身へと運ばれていきます。

その左心房と左心室の境には血液が逆流しないように「弁」がついているのですが、その弁のことを「僧帽弁」(そうぼうべん)といいます。

その僧帽弁を支えている部分が何らかの原因で異常を来してしまうと弁としてうまく機能できなくなる状態が「僧帽弁逸脱症」になります。

症状としては非定期的な胸痛や息切れ、動悸、疲労感などが出てきます。

引用:https://www.qlife.jp/dictionary/anatomy/i_5/

この病気だったのではないかという記事を書いているのは捧心皺眉 西施得了什麼病?(捧心皺眉、西施がかかった病とは)となりますので、詳しく読みたい方はどうぞ。

【先天性心筋架橋(心筋ブリッジ)】

心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしていますが、心臓も筋肉なので当然にエネルギーが必要になります。

心臓全体に酸素や栄養を運ぶ役割を担っているのが、心臓を包むように流れている3本の「冠状動脈」と言われる血管です。

また、心臓は内側から「心内膜」「心筋層」「心外膜」などの主に3つの層からできており、普通、冠状動脈は心外膜の下を通っています。

しかし、冠状動脈の一部が心筋層に潜り込んでしまっていることがあり、これがあたかも、冠状動脈という道路に心筋という橋が架かっているように見えることから「心筋ブリッジ」または「心筋架橋」と呼ばれています。

この心筋架橋はヒト以外にも、サルやウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、アザラシなどでも確認されているようです。

この心筋架橋は先天的なもので、心臓が収縮する時に一時的に冠状動脈が狭くなってしまいますが、成人にはよく見られる所見なので、基本的には問題ないそうです。

ただ、心筋架橋の程度によっては「虚血所見」を呈することから、胸痛などの症状が現れるとのことです。

引用:https://doctorblackjack.net/about_heart_trouble/ope_index_04.html

「心筋架橋」に関する詳しい内容などについては石川由起雄氏と石井壽晴氏の論文である「心筋架橋による冠状動脈硬化抑制および心筋虚血」に書いてありますので読んで見てくださいね。

ちなみに西施がこの先天的な「心筋架橋」だったのではないかと言及していた記事は「西施胸口疼,到底是什么病」(西施の胸の痛みはいったい何の病気だったのか)から読めますのでどうぞ。

西施の病:胃

【胃食道逆流症】

捧心皺眉 西施得了什麼病?(捧心皺眉、西施がかかった病とは)

台湾の肝臓病の権威である「許金川」氏(台湾大学医学部名誉教授)は「胃食道逆流症」であったという見方を示しています。

「胃食道逆流症」とは「胃液や胃の内容物が食道に逆流することによって食道の粘膜が傷つくこと」です。

食生活の乱れや仕事による疲労、不安定な精神状態と密接な関係があることから、西施も同様の症状が出ていたのではないかとしています。

「胃食道逆流症」の症状としては胸焼け、(狭心症のような)胸痛、喉の違和感、咳、口臭などがあるようです。

また、「姿勢」によっても発症してしまう可能性があり、例えば、前かがみになったり、お腹を締め付けるような服装をしていたり、重いものをもったりすることで起こる場合もあります。

西施は川辺でよく洗濯をしていたということですから、しゃがんだ状態で洗濯をしていた可能性が高く、前かがみになりお腹も圧迫された状態がずっと続いていたかもしれません。

しかも、洗い終わった後の洗濯物は水分を含んでいるので、女性からしたらかなりの重さに感じていたはずです。

それに加えて、家は貧しく不規則な食事をしていたとなれば疲労も溜まりやすかったと考えられます。

そう考えると、「許金川」氏の見立ても真実に近いのではないかと思われます。

ただ、仮にそうだとしても美人である西施の口臭が激ヤバだったら個人的にはちょっとショックかなと思います。

いや、やはり西施の口臭はきっと甘い香りがしていたんだと思いますよ、きっと。

【胃寒( wèi hán )】

你知道吗?2000年前的西施患的可能不是心脏病,而是胃病?

(2000年前の西施がかかっていたのは心臓ではなく胃の病だったかも?)

この「胃寒」(いかん)という言葉はほとんど聞き慣れない言葉だと思いますが、これは中医学で使われる用語で、意味を以下に引用します。

胃寒には実証と虚証があり、前者は寒邪が消化管から侵入したもので、後者は陽気不足により胃が冷えている状態をいいます。西洋医学的には胃痙攣や急性胃炎の状態に相当し、上腹部に冷痛があり、触れられることを嫌います。

引用:https://www.koku-naika.com/p1637orientalmedicine.htm

上記の中国語の記事では西施はこの「胃寒」だったのではないかとしています。

理由としては食生活が不規則だったことや川辺でよく洗濯をしていたことで冷気が体の中に入りやすかったことを挙げています。

また、家が貧しかったため気分的にすぐれなかったことや冷たい食べ物をよく食べていたことから、内臓が冷えてしまって結果として「胃寒」になったのだとしています。

また、その記事では、西施は王宮に召し出されてからはその症状が改善したと言い伝えられているとして、その理由として次の4つを挙げています。

・3食の規則正しい食事

・生活の質が上がり体が冷えることがなくなったこと

・衣食住が与えられて精神的に安定したこと

・「鸡内金」( jī nèi jīn )により胃痛が改善したこと

彼女が本当に胃痛が改善したという記述は古書では発見できなかったので本当かどうかは分かりませんが、「鶏内金」についてはあくまでも「言い伝えによる」と前置きしつつ

呉の王(恐らく夫差のこと)が西施のために良薬を探させたところ、ある名医の助言により「鶏内金」を漢方薬として処方されたことで彼女の胃痛が治ったとのことです。

この「鶏内金」は鶏の砂肝(サイトによっては胃とも)の内側の膜を剥いで乾かしたものとされていて、そのまま食べたり、「炒鸡内金」( chǎo jī nèi jīn )という炒め物として食べるようです。

ちなみにこの「鶏内金」には「健胃作用」があり、胃液の分泌を促すはたらきがあるとのことです。

この他にも、西施がかかっていたかもしれない胃の病には、「神経性の胃痛」「胃下垂」「胃潰瘍」というのもありましたが、ここでは割愛させて頂きますね。

西施の病:心

多くの歴史家は西施の胸の痛みは「心理的・精神的によるもの」としており、理由としては、自らの存在が一国の存亡を左右してしまうというプレッシャーによるストレスからくるものとしています。

たしかに精神的なものが原因で動悸や胸の痛みを生じてしまうことはあるので、その可能性が最も有力な説なのかもしれませんし、納得のいきやすいものかもしれません。

話はそれてしまいますが、実際に私も20代中頃に胸・背中の痛みや激しい動悸、息苦しさ、止まらない咳に悩まされていた時期がありました。

心臓か肺に異常があるのではないのか、これまで大きな病気をしてこなかったのに急に病気になるはずがない、そのように思っていたのですが

いつもは放っておけば知らずに治ってきた体の異常も、この時ばかりは時が過ぎても一向にその症状が治まる気配がなく、時間の経過とともに症状が悪化していきました。

インターネットで調べていくと自分の症状が「食道ガンの末期症状」にあてはまるものがいくつもありました。

20代でガンを発症するのも現代では珍しくないのかもしれない。しかも、よりによって末期症状。そして、覚悟を決めて病院で診察してもらうことにしました。

診察が終わり、医者から告げられたのは、「肩こりです」の一言だけでした。

どうやら肩と胸、さらに背中を覆う筋肉が凝ってしまい、それによって胸部が締め付けられていたことが咳や息苦しさの原因のようでした。

また、病気ではないですが、それとは別に「過換気症候群」という症状が現れていた時期でもありました。

「過換気症候群」とは、過呼吸などによって二酸化炭素が必要以上に体から吐き出されてしまった結果、血液中の炭酸ガス濃度が低下してしまい、中性だった血液がアルカリ性に偏ってしまい、息苦しさやめまい、胸の痛みなどの症状が出てくることをいいます。

私の場合は、息苦しさと手や唇のしびれ、激しい動悸(心臓が飛び出るのではというくらいに感じる)、さらに「このまま死ぬかも」という大きな不安にほぼ毎日のように襲われていました。

さらに、夕飯として鶏の手羽先を食べていたところ、かみ砕ききれていない骨を呑み込んでしまい、それが喉の入り口あたりに刺さってしまったのか、引っかかってしまったのか、とにかくその骨が喉の入り口のところにずっと残ったような違和感に苦しめられることになりました。

次の日も、またその次の日も、喉の違和感は収まらず、ついには病院に行って診てもらうことにしました。

レントゲンを撮ったり小型カメラで画面越しに喉を診てもらったところ、そこには鶏の骨どころか、何の異常もありませんでした。

結局、小型カメラで喉を診てもらったことで口や鼻、喉などが乾燥してしまったということで、1分間くらい鼻と口から水蒸気を大量に吸ったり吐いたりして治療(?)は終わりました。

また、この時期に近所の人から子犬をもらって育てることになったのですが、狂犬病の予防接種をする前にその子犬に手を噛まれてしまい、自分は狂犬病にったらどうしようというな不安感にも襲われていました。

微熱が続き、噛まれた指もどこかいつも以上に腫れているように見えたので、これまた病院に行って診てもらったところ、医者に言われたのは「噛まれてから1週間以上たっているから大丈夫」ということでした。

当時は不安が偶然的な不運を呼び、その不運によってさらに不安感が募るという負のスパイラルに陥っていました。

しかし、この頃から薬を処方してもらう時、ある漢方薬を決まって処方されることが多くなりました。

それは「半夏厚朴湯」(はんげこうぼくとう)という漢方薬になります。

「半夏厚朴湯」は簡単に言うと、気分が塞がって不安に襲われている人や喉に違和感を感じている人、咳やしわがれ声になっている人に処方されるもので、今思えば、これらの症状が出ていた当時の私に「半夏厚朴湯」が処方されていたのは納得がいきます。

当時はいろいろと精神的に病んでいた時期だったのでココロもカラダもずっと緊張していたんだと思います。改めてココロがカラダに与える影響の大きさというものを実感しました。

話がそれてしましましたが、そういう症状も結局は人生における一時的なものであって、西施のように生涯にわたって悩まされ続けたというものではありませんでした。

と考えたときに、この「心理的・精神的プレッシャーによるストレス説」というのは、個人的にはどうも違うような気がしてなりません。

西施の病:その他

【胸膜炎】

「胸膜」(きょうまく)とは、肺を覆っている薄い膜のことで、そこに炎症が生じることで「胸膜炎」となります。症状としては胸の痛みや発熱、呼吸困難などが現れます。肺炎などと合併して起こる。

【肋間神経痛】

肋間(ろっかん)神経とは肋骨に沿って走っている神経のことで、それが痛む症状のことをいいます。

ただ、胸膜炎の場合は他の病気と併発することで発症し、肋間神経痛も左右どちらか一方のみが痛むということだったので、西施がそれらを発症していたという可能性は低いように思います。

【考察】西施の病

西施が冒されていた病について、心臓に何かしらの病を抱えていたのではないかと私は考えています。

自分なりの考察を下の記事に書いてまとめていますので、合わせて読んで見てくださいね。

まとめ

さまざまな記事を引用しながら西施がかかっていたのではないかという病についてまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

最後に、注意して頂きたいのは、私は医学に関する知識はほとんどないのでここに書いてあることが必ずしも正しいというわけではないということです。

あくまでもネットで調べた情報や知識で考えていますので、暇つぶし程度に読んでいただけたら幸いです。

いや、西施はこの病気だったと思う!という方はコメント欄などで教えてくれたら嬉しいです。

イラストレーターの皆さん

この記事を作成するに当たって使用させてもらった画像のイラストレーターさんになります。

「miho」さん - パンダ

「mikenopop-design」さん - 臓器

「モモザ」さん - 本を読む女の子

chinese-mao

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