「松子」は「マツコ」にあらず?!

蛋炒饭:卵チャーハン

中国に興味がない人でも人生で一度は食べたことがあるかもしれない「卵チャーハン」

ご飯と卵を炒めてしょう油で味付けをするというシンプルさ、食欲をそそる香ばしいしょう油の香り、貧乏暮らししていても基本的には家にあるご飯・卵・しょう油の3点セット。

これはもはや元祖「早い!うまい!安い!」と言っても過言ではない気がします。

そんなシンプルな材料で作ることができる卵チャーハンですが、私が子どもの頃は小腹が空いた時によく自分で作って食べていた記憶があります。おそらく、初めて自分で作れるようになった料理が卵チャーハンです。

そんな思い出のある(?)卵チャーハンですが、学生時代に上海に住んでいた頃にも、節約生活のためにほぼ毎日のように卵チャーハンを食べていました。

卵チャーハンは中国語では「蛋炒饭」( dàn chǎo fàn )と言います。

「鸡蛋」( jī dàn )の「蛋」に「炒饭」( chǎo fàn )「蛋炒饭」。なんとも分かりやすいネーミング。

約10年前の中国では安いところだと一食5元(80円くらい)くらいが普通でしたが、2019年末に食べた時には1食8元(130円くらい)になっていました。

もちろん店によるとは思いますが、昔に比べて若干高くなってきているという印象です。

ちなみに上海にいた当時の私は食欲バリバリの貧乏学生だったので裏技、というか卑怯な手を使ってこのお腹を満たしていました。

まず、卵チャーハンを注文して半分くらいまで食べてから今度は白米を追加してもらうという手法です。今はどうか分かりませんが、当時の一般的な食堂は白米のおかわりが自由で、しかも何杯おかわりしても無料でした(私が通っていた大学の学生食堂もそうでした)。

それをいいことに、お金を節約して腹一杯に食べたかった私は、よく卵チャーハンをおかずにして白米を食べるという、まさにご飯をおかずにご飯を食らう食事をしていました。もちろん、今はそんなこと絶対にできませんがwww

そんなこんなで、この前の休日に久しぶりに卵チャーハンを食べたい気持ちが抑えきれなくなってしまったので、この際だから自分で作ってみようと思い立ち、YouTube動画を観ながら自分で作ってみることにしました。

ちなみに、日本の卵チャーハンと言えば、味付けにしょう油や鶏ガラスープの素を入れたり、香り付けにごま油を入れたりすると思うのですが、中国の一般的な卵チャーハンの味付けは「塩」のみになります。

もちろん、お店や屋台によってネギやチンゲンサイなどの野菜が入っていたりもしますし、バリエーション豊富な卵チャーハンがいろいろとありますが、一般的に「蛋炒饭」と言えば、材料は至ってシンプル、「ご飯、卵、塩」のみになります。

ちなみに、「蛋炒饭」を作る際に私が参考にしたYouTube動画を貼っておきます。

「小高姐的 Magic Ingredients」というチャンネル名のYouTuberの方で、主に中国料理の作り方に関する動画をアップしています。

1品あたり約3分~5分にまとめてあって、概要欄にも必要な材料や量が書かれているので、とても分かりやすく参考になります。

作るつもりはなくても観ているだけでお腹いっぱいになってきますし、自分も作ってみようかなという気持ちにもさせてくれます。

また、中国語だけでなく英語で解説している動画も作成しているので、英語が得意な方も中国料理を学ぶことができます。

料理好きの方はこのチャンネルを通して勉強すれば、料理だけでなく中国語や英語のほうも“うまくなる”かもしれません(これはまずいかwww)。

ちなみに先ほどのYouTube動画を参考に「蛋炒饭」を作ると、中国に行かずとも本場の「蛋炒饭」を味わうことができますので、一度チャレンジしてみるのもいいかもしれません。

さて、本題に入りたいと思います。

先ほどのYouTube動画で「蛋炒饭」の作り方を観ていると、「おや?」と思う単語が登場してきました。

それは、「松子」( sōng zǐ )という単語です。

料理が得意な方たちからしたら「ああ、あれのことね」とすぐに理解できるかもしれませんが、私はあまり料理をする方ではないのと、字幕のせいもあって「マツコ?!」となってしまい、しばらく思考が停止してしまいましたwww

そこで今回の記事では、料理に使う「マツコ」さんこと、中国語の「松子」について書いていきたいと思います。

松子( sōng zǐ )とは

料理好きの方や料理が得意な方たちからしたら説明する必要はないかもしれませんが、中国語の「松子」( sōng zǐ )とは「松の実」のことになります。

松の実は、別名「松子」(しょうし)と言うこともあります。

松の実は文字通り「松の木の種子」のことで、その種子の中にある胚乳(種が芽を出す時に必要な養分を供給してくれる組織)の部分を食用としたものになります。

ただ、松の木ならなんでもいいというわけではなく、Wikipedia「松の実」の記事によると、松の中でも「イタリアカサマツ」「メキシコマツ」「朝鮮五葉」(チョウセンゴヨウ)など6種類の松の木から採取できるものが松の実として食用されています。

「朝鮮五葉」は中国語で「红松」( hóng sōng )といい、別名、「果松」( guǒ sōng )「朝鲜松」( cháo xiǎn sōng とも言われます。

後述しますが、「红松」とは中国で食べられている松の実のひとつである「東北松子」という種類の松の実が採取できる松になります。

樹木自体は建築、枕木、家具、パルプ用などに用いられますが、その葉や根などから採取される「松子油」はペンキや香水、石けん、食品に添加されて利用されます。また、松の実の殻は染料や活性炭としても利用されたりしており、工業的にも高い価値があります。

また、漢方薬として用いる場合、その種子は「海松子」( hǎi sōng zǐ )とも言われるそうです。

中国の文献によると、松の実は咳を止めたり便通をよくしたりするだけでなく、肌を潤したり体が軽くなったりして寿命を伸ばすこともできるとされていることから、健康だけでなく美容にも効果があるとされています。

また、満州族の社会・経済を知る上での重要な史料とされている『打牲乌拉志典全书』によると、清の時代には宮廷で供される「御膳」( yù shàn )の食べ物のひとつにも挙げられています。

日本だと中華料理のスープなどに用いたり、おつまみとして食べることが多いのかもしれませんが、普段あまり食べる機会というのはそれほど多くはない気がします。

また、ダイエットにも効果があると言うことでモデルさんが食べているということなので、ダイエット方法に詳しい方たちの間でも有名かもしれません。

スーパーなどで税込み250円くらいで買うことができますが、20gほどしか入っていませんので、割高と言えば割高なので、なかなか気軽に手を出せるものではないのかもしれません。

原産国は中国となっているので、輸入したり包装したりいろいろと手間がかかるのでそれくらいの価格になるのかもしれませんが、対して同じ中国産でも中国国内では500gで1000円~2000円で購入できるようです。

つまり、20g換算で40円~80円となり、日本のスーパーやインターネットで販売されている松の実の価格の6分の1~3分の1ほどとなっています。

これを見る限りでは日本で販売されている松の実は同じ中国産でなので、2つの意味で「おいしい」のかもしれません。

ちなみに台湾のEコマースサイト「博客来」( bó kè lái )では120gで420元(約1500円)で買えるようです。送料などを含めるともっとかかりますが、これだと日本のスーパーで買ったがほうが安いです。

下に一応、Eコマースサイト「博客来」のリンクを貼っておきますね。アフィリエイトリンクではないのでご安心をwww

【自然時記】生機松子(袋)

因拍攝略有色差,圖片僅供參考,顏色請以實際收到商品為準。…

ちなみに台湾のEコマースサイト「博客来」を利用して台湾から商品を購入したいという方は「博客来でお買い物」のページでアカウント登録~購入の仕方まで解説しているので、興味がありましたら読んでみてくださいね。

ということで、中国語の「松子」とは日本語で「松の実」ということが分かったところで、この「松子」についてちょっと「深掘って」みたいと思います。

ちょっと深掘り

中国の松の実には主に「巴西松子」「落水松子」「东北松子」の3種類があります。

まず「巴西松子」( bā xī sōng zǐ )についてですが、「巴西」とは中国語で「ブラジル」という意味ですが、ここでの「巴西」は「巴基斯坦( bā jī sī tǎn:パキスタン)西部」という意味になり「ブラジル」という意味ではありませんのでご注意を。

この「巴西松子」はパキスタン西部にある「パラチナル」という地域で採れる松の実になりますが、これは「Chilgzoza pine」という種類の松から採れるものになり、他の松の実と比べてやや大きめの松の実になります。

「Chilgzoza pine」はWikipedia「松の実」によると仮称として「チルゴザマツ」としており、また、「Chilgzoza pine」は中国語では「西藏白皮松」( xī zàng bái pí sōng )と言われていて、チベット自治区のヒマラヤ山脈北西部やアフガニスタンに分布しているとされています。

インド北部の一部地域では重要な商品作物(cash crops)とされていて、現地では「neja」(単数形)や「neje」(複数形)などとも言われています。取引価格は1㎏あたり2500~4500パキスタンルピー(約1500~2800円)、2000~3600インドルピー(約2800~5000円)となっているようです。

次に「落水松子」( luò shuǐ sōng zǐ )についてですが、別名を「云南松子」( yún nán sōng zǐ )ともいい、主に雲南省や四川省、貴州省などに分布しているとされています。

そもそも、なぜ「落水」というのでしょうか。

昔、崖に生えている松の木から落ちた松ぼっくりが川に落ちて下流へと流れていき、それを川で洗濯していた村人が拾って家に持ち帰りました。その松ぼっくりを剥いてみると、硬い殻の中に種が入っているのを偶然に発見しました。

一口食べてみると、その種はその村人が今までに味わったことがないほどに美味しいものでした。

次の日も、そのまた次の日も、同じように川で洗濯をしていると松ぼっくりが流れてきました。そして、それを拾い上げて家に持ち帰ると、毎晩のようにそれを食べ続けました。

そのおかげか、その村人は日に日に若返っていき、同じ村の人もそんな彼を見てとても不思議がっていました。

ある日、そんな村人の様子を見ていた隣村の村人が自分も若返りたいと思い、その村人よりも上流側で洗濯をするようになりました。すると、思惑通りに松ぼっくりが流れてきたのでそれを拾い上げると家に持ち帰って食べてみました。

種を食べ始めてからひと月と経たないうちに昔のように力が湧いてきました。若返りを実感してきた隣村の村人は、もっと力が欲しいと思い、川の上流に行けばきっと松ぼっくりがたくさんなった松の木があるに違いないと思いました。

そこで、3日3晩かけて川に沿って上流へと歩いて行くと、切り立った崖の上に松ぼっくりをたくさんつけた1本の松の木を見つけました。

やっとの思いで崖の上に登ると、今度は松の木によじ登って松ぼっくりをたくさんとりました。持ってきた麻袋の中は松ぼっくりであっという間にいっぱいになりました。

そして、意気揚々と来た道を3日3晩かけて戻ると、持ち帰った松ぼっくりを剥いて硬い殻の中に入っている種を取り出すと自分の家族に食べさせました。すると、それを食べた家族もまたみるみる若返っていきました。

日に日に若返っていく家族をみた同じ村の人はとても不思議がりました。

ある日、その家族は他の村人たちにもその種を配って食べさせてみることにしました。するとまた、みるみるうちに村人たちは若返っていき、村には昔のような活気が戻ってきました。

さらにその村人たちは自分たちでも松の木を栽培して松ぼっくりから種を採取するようになりました。そして、周辺の村にもその種を売ることでますます豊かになっていきました。その村で採れる種を知らない者はいないほどに有名になっていきました。

一方、最初に種を発見していた村人はというと、隣村の繁栄ぶりをみて、種を独り占めしてしまったことをとても後悔しました。それからというもの、川で洗濯をしていても、その村人は上流から流れてきた松ぼっくりを拾い上げることはしませんでした。

他の村人たちは、以前にも増して老け込んでしまった彼の姿を見てとても不思議がりました。

崖に生えている松の木から川に落ちた松ぼっくりは、今日もまた川の上流から流れてきましたとさ。(ちゃんちゃん♪)

ここまで真面目に読んでくれた方には申し訳ないですが、残念ながら上記のお話は私の単なる創作ですので、現実には存在しません。すみませんでした。

一見ありそうな「落水松子」にまつわる伝説というのは実のところ存在しないのですが、「落水」という名称がついている由来は、単純に松ぼっくりから松の実が入った硬い殻を取り出したあとに行う選別作業にあります。

さまざまなコピペ記事があるのですが、画像が一番わかりやすかったので「味蕾上的云南之落水松子」から詳しい内容を読んでみてくださいね。

上記記事によれば、「松塔」( sōng tǎ:松ぼっくり)から松の実を取り出した後に、ゴミや「瘪松子」( biě sōng zǐ:中に松の実が入っていない空のもの)といった不良の殻を選別する作業があります。

その作業を効率よく行うために取り出した殻を水に入れるのですが、そうすることで、ゴミや「瘪松子」などは軽いので水に浮き、松の実がきちんと入っている良質の殻は水に沈むというわけです。

そこから雲南省などの松から採れる松の実は「落水松子」とも言われるようになったということです。

最後に「东北松子」( dōng běi sōng zǐ )についてになります。

「东北松子」は別名「东北红松子」( dōng běi hóng sōng zǐ )ともいい、中国東北地方の黒竜江省の「大興安嶺」から吉林省の「長白山」一帯にかけて分布している「红松」(hóngsōng)という種類の松から採取されます。

また、狭い面積ながらも、新疆ウイグル自治区にあるアルタイ山脈北西部にも「红松」は分布しています。

特に黒竜江省伊春市( yī chūn shì )は「红松」の生育に適しているとされている地域で、「红松」は伊春市の「市树」( shì shù:市樹)にもなっています。

1948年から始まった周辺地域の開発により天然の「红松」はその多くが伐採されてしまい、120万ヘクタールから現在では5万ヘクタールほどにまで減少してしまい、300万株ほどがあるとされています。

2004年9月1日には市内にある天然の「红松」の伐採を禁止し、さらに株ごとに登記を行うことで保護しており、1999年8月には「国家二级重点保护野生植物」として「国家重点保护野生植物名录」(国家重点保護野生植物リスト)に登録されました。

また、「世界自然保护联盟」( shì jiè zì rán bǎo hù lián méng:国際自然保護連合)のレッドリストにも登録されており、「低危」( dī wēi )または「无危」( wú wēi )、つまり低懸念/低危険種とされています。

国際自然保護連合(IUCN)とは、1948年に創設された自然環境保護団体のことで、1200を超える国や政府機関、NGO(非政府組織)などが会員となって活動を行っています。

「IUCN日本委員会」のホームページによると、日本では1980年にIUCN日本委員会が設立されており、外務省や環境省および民間団体18団体から構成されています。

中国では外交部(日本の外務省に相当)を初めとして、香港にある組織も含めて36のさまざまな協会、学会などが会員として参加しています。

そのような「红松」ですが、黒竜江省伊春市の五営区にある「豊林自然保護区」には、樹齢760年にもなる「红松树王」( hóng sōng shù wáng )という「红松」があります。高さ38m、胸高直径(きょうこうちょっけい:地面から約1.3mdで測った樹木の直径のこと)は1.7mあります。

本当かどうかは分からないのですが、吉尼斯世界纪录( jí ní sī shì jiè jì lù:ギネス世界記録)には、松は「最も耐火性のある樹木」として載っているようです。

松子(マツコ)とは

この際なので、日本語で松子(マツコ)といった場合、何を指すのかちょっと考えてみたいと思います。

ちなみにGoogleさんで「松子」と検索してみると、「嫌われ松子の一生」だけが出てくるのかと思いきや、上位表示されたのが司会者などのさまざまな肩書きを持つ「マツコ・デラックス」さんのWikipedia記事でした。

その次に表示されたのが「千葉県成田市」にある「松子」(まつこ)という地名で、その次に表示されたのが「嫌われ松子の一生」のWikipedia記事でしたが、それ以外の検索結果のほとんどがマツコ・デラックスさんの番組や「嫌われ松子の一生」に関するページでした。

マツコ・デラックスさんは例外として、日本語で「松子」といえば地名もしくは人名を指し、グーグルマップで調べると「松子」という居酒屋の名前として出てきます。

また、「松子」(まつこ)は「まつぼっくり」や「まつかさ」、「松の実」を意味する言葉として「しょうし」と音読みすることもできます。

ちなみに「嫌われ松子の一生」は中国語で「被嫌弃的松子的一生」もしくは「令人讨厌的松子的一生」となります。

「マツコ・デラックス」さんは中国語で「松子・DELUXE」となります。

マツコ・デラックスさんの「松子・DELUXE」を略して「松子DX」としたら、もはや松の実を使った健康サプリメントの商品名にしか見えないです。

松子(ちぢり)とは

「松子」は他にも「ちぢり」という読み方もあるようで、これは「松ぼっくり」のことを指します。

「新松子」と書いて「しんちぢり」と読み、これは「その年にできた松ぼっくり」という意味になり、俳句では秋の季語になります。

「新松子」は別名「青まつかさ」ということもあります。

また、石川県輪島市にある「有限会社 栄煎堂」さんでは、松の実を使った煎餅を販売しており、その商品名のひとつに「紅松子」(べにちぢり)というものがあります。

ただ、2020年8月現在、製造はしていないとのことです。残念。

もうひとつの「松の実せんべい」は販売しているようなので、興味のある方はぜひ購入してみてくださいね。

かなり長くなってしまいましたが、以上、中国語の「松子」とは「まつこ」さんのことではなく日本語で「松の実」を指すと言うことでした。

イラストレーターの皆さん

この記事を作成するに当たって使用させてもらった画像のイラストレーターさんになります。

「miho」さん - パンダ

「milktea」さん - チャーハン

「konamom」さん - 湯気

chinese-mao

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメントする