「耳」に「麦」で「ヘッドセット」?!

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「耳」に「麦」で「ヘッドセット」?!

みなさん、手元にムギがありましたら、耳元でよく耳をすましてみてください。
きっと中島みゆきさんの「麦の唄」が聞こえてくるのではないのでしょうか。
2014年~2015年にかけて放送されていたNHKの連続テレビ小説「マッサン」の主題歌として聞いたことがあって知っている方も多いのではないでしょうか。
当時の私はバリバリのヒッキーとして自宅を警備しながらの毎日を送っていました。
そんな、「マッサン」を観ないまま「オッサン」になってしまった私ですが、この曲はたまに聞くくらい意外とお気に入りの曲です。
さて、本題に戻りますが、「耳」に「麦」と書いて「耳麦」( ěr mài )という中国語からどういう単語をイメージするでしょうか。
なにかの食べ物?それとも、耳にできたムギ状の腫れ物?
というか、今回のブログ記事のタイトルにもかいてしまっているのですが、「耳麦」は日本語では「ヘッドセット」や「インカム」「耳掛け式マイクロホン」という意味になります。
専門家ではないので間違っていたら申し訳ないのですが、イヤホンとの違いは、イヤホンの場合は「聞く専用」であり、ヘッドセットは「聞いて話す」ことができるものです。
つまり、イヤホンとマイクがセットになったものということですね。
よく、実況アナウンサーやコールセンターの人が頭につけて横からマイクが「ひょっこりはん」しているやつですね。
あとはYouTuberたちがゲーム実況している時につけているもの。
「耳麦」という文字と発音だけからだとまったく想像もつかないですよね。
というわけで、今回は「耳麦」=「ヘッドセット」について見ていきたいと思います。
「耳麦」( ěr mài ):ヘッドセット
さきほども書きましたが、「ヘッドセット」は「イヤホン」と「マイク」が一体となったものです。
その「イヤホン」と「マイク」ですが、中国語ではそれぞれ「耳机」( ěr jī )と「麦克风」( mài kè fēng )と言います。
つまり、こう考えるとわかりやすいですね。「耳机」+「麦克风」=「耳麦」
ただ、百度百科には「ふつう、耳机を指す」とあるので、そこは文脈によって判断しなければいけないこともあるようです。
さて、「耳麦」の意味が「ヘッドセット」だということがわかったということで、息抜きに「ムギ」について調べて見たので興味がありましたらどうぞ。
最後まで呼んでくれましたら御の字でございます。
「ムギ」について
普段、私たちが食べているパンや麺類の原料はコムギであるというのは知っている方は多いと思うのですが、コムギ以外のムギの種類や用途について知っている方は少なくなるのではないでしょうか。
聞いたことはあるけど、どの種類が何の原料に使われるのかというところまでは私はあまり知りませんでした。
なので、「ムギ」についての知識をいくつかシェアしたいと思います。

日本で主に食用として用いられているムギは上図の通りです。
「ムギ」というのは「イネ科の穀物」の総称のことで、日本では弥生時代の中期頃から栽培が始まっていたと言われています。
「麦」と中国語:麺
中国語ではムギのことを「麦」( mài )といいますが、「小麦」( xiǎo mài:コムギ)のことを指すこともあり、普通は「麦子」( mài zi )と言います。
ちなみに、小麦粉で作ったおなじみの食べ物と言えばパンもそうですが、やはり「ラーメン」ではないでしょうか。
Wikipediaによると麺の発祥は定かではないみたいなのですが、粟(アワ、他にコーリャンとも)で作った世界最古の麺が中国青海省の回族土族自治県にある「喇家遗址」( lǎ jiā yí zhǐ:喇家遺跡:らつかいいせき)で見つかっているそうです。
この遺跡は今から約4000年前に存在していた高度な文明を持った都市でしたが、洪水による土砂で一瞬にして埋もれてしまいました。
この遺跡の発掘作業では多くの石器や陶器などが発見されていて、2005年10月には「世界最古の麺」が発掘されるに至りました。
ただ、アワには生地をつなぎ合わせる役割をする「グルテン」が含まれていないため粟だけでは麺を形成することができません。
かといって喇家遺跡からもコムギが見つかっていないことから「アワの麺」というのはどうしても矛盾が生じてしてしまうという問題がありました。
そこで下の記事を読んでみるとなるほどなと思う面白い発見がありました。
「喇家遗址出土一碗四千年前老面,专家经过研究,破解面条成分之谜」
「喇家遺跡から4000年前の拉麺が出土、専門家が麺の成分の謎を解き明かす」
喇家遗址出土一碗四千年前老面,专家经过研究,破解面条成分之谜_考古
1999年,青海省的考古专家们,在喇家遗址中出土了一碗老面条,距今约4000多年,还被誉为”世界最古老面条”。后来 …
この記事によると、当時から黄河上流域では4500年ほど前からすでにコムギやオオムギの栽培が始まっていました。
喇家遺跡からそう遠くない「天水西坪坝遗址」という遺跡で4600年前のコムギの種が発見されており
このことから、喇家遺跡と天水西坪坝遗址との間で物々交換による交易が行われていたのではないかという推測が立てられました。
しかも、実際にアワやコーリャンに一定量のコムギを混ぜて麺を成形してみると、口あたりこそ現代のものには及ばないものの、麺にはなるということがわかったということです。
発見された「世界最古の麺」は現在はすでに酸化してしまっているようですが、発見後すぐにカメラマンが写真に収めていたので、その写真を見たい方は上記のリンクからぜひ見てみてくださいね。
「麦」と中国語:姓
中国には「麦」という姓もありますが、「麦氏」の由来にはふたりの人物がいます。
ひとりは春秋時代の「麦丘老人」( mài qiū lǎo rén )という83歳の老人で、斉国の王から「麦丘」という地(現在の山東省)を授かり、その子孫が後に「麦」の姓を名乗るようになったというもの。
もうひとりは隋の時代の「麦铁杖」( mài tiě zhàng )という隋朝の「大将軍」。
彼は現在の広東省の生まれで、日に500里(約250㎞)駆けることができると言われており
「車騎将軍」に任じられてからは反乱を鎮めたり突厥との戦いでさまざまな功績を挙げましたが
最後は、高句麗との戦いで遠征先で戦死してしまいました。
その彼の末裔が「麦」姓となったものとなります。
いずれにせよ、この「麦」という姓は中国では非常に珍しいようです。
「麦」と英語・韓国語
英語では日本語のように「麦」に相当する言葉はないようです。
つまり、日本語の麦とは「小麦や大麦を総称する言葉」ですが、英語では小麦や大麦を総称する言葉はなく、それぞれ小麦を「 wheat 」、大麦を「 barley 」と表現することになります。
韓国語では日本語の麦に相当するのは「맥류」(麥類)または「맥곡」(麥穀)となります。
小麦は「밀」ですが、これは「참밀」の縮約形です。
大麦は「보리」または「대맥」(大麥)になります。
ただ、「보리」は辞書によると「大麦、麦」とも訳されていますが、「보리차」(麦茶)や「보리밥」(麦ご飯)も大麦を原料や材料として使うことから、訳は麦でも大麦のことを指していると思います。
ちなみに、「보리를 타다」(麦を打つ、叩く)は韓国語では俗に「(ムチなどで)ひどく打たれる、殴られる」ことを意味するそうです。
イラストレーターの皆さん
この記事を作成するに当たって使用させてもらった画像のイラストレーターさんになります。
・「miho.panda」さん - パンダ
・「カニコロ」さん - 麦