【故事成語】乐不思蜀( lè bù sī shǔ )

乐不思蜀( lè bù sī shǔ ):あらすじ

魏に投降した劉禅が宴会の席で司馬昭から「蜀は恋しくないのか」と聞かれて「ここの方が楽しい」と答えたという話。

乐不思蜀( lè bù sī shǔ ):故事

三国時代末の蜀。

劉備亡き後、その息子の劉禅が後継者となり、諸葛亮が政治を補佐することになりました。

諸葛亮の助けのおかげで蜀はなんとか持ちこたえていましたが、諸葛亮の死後は国力がだんだんと衰えていき最後は魏国により滅ぼされてしまいました。

囚われの身となった劉禅は魏の都である洛阳( luò yáng )に連れて行かれました。

ある日、魏の大将軍であった司馬昭は劉禅が本当に降伏したのかどうかその胸の内を探るため (劉禅やその臣下たちに屈辱を味わわせるためという話も) に宴会を開くことにしました。

その宴会の席で、司马昭はあえて蜀の歌や踊りを用意させました。

聞き慣れたその音色に、国亡き者となった臣下たちは故郷をとても懐かしがり、耐えきれずに声を押し殺して涙してしまいました。

一方、劉禅はというとずっと笑みを浮かべたままでした。

「蜀を恋しいとは思わないのですか」

司马昭の問いに劉禅は嬉しそうに答えました。

「ここにいて楽しいのに、そんなはずがありません」

それを聞いた司马昭は、蜀は既に救いようがないことを知りました。

出典《三国志・蜀書・後主伝

三国志・蜀書・後主伝》「裴松之注引《汉晋春秋》: “王问禅曰:‘颇思蜀否?’禅曰:‘此间乐,不思蜀。’”」

223年に刘备( liú bèi )が亡くなり、16歳(17歳とも)で後継者となった刘禅( liú shàn )「後主」と称し、诸葛亮( zhū gě liàng )の補佐の下でなんとか蜀国( shǔ guó )を治めていましたが、諸葛亮の死後は国が徐々に衰退していってしまいました。

そして、263年に魏国( wèi guó )の大軍に攻められ、都の成都まで迫ったところで劉禅は降伏。

その後、魏の都である洛陽に移送されると魏帝から「安楽公」に任ぜられ、十分な恩賞も与えられて何不自由ない生活を送っていました。

ある時、司马昭( sī mǎ zhāo )は劉禅の本心を探ろうと宴会を開いて「蜀は恋しくないのか」と質問しました。

「乐不思蜀」の話を上では分かりやすくざっくりと簡単に述べましたが、Wikipedia「劉禅」にはもっと詳しく書かれているので興味のある方はどうぞ。

「乐不思蜀」は「新しい環境が心地よくて、もとの環境に戻りたくない」という意味ですが、「快適すぎる環境は人の意志を弱め、職責を全うできなくさせる」というふうに解釈している人もいるようです。

劉禅といえば「扶不起的阿斗」( fū bù qǐ de ā dǒu )という諺からもわかるように、「どうしようもない人、救いようのない人と」いうイメージがついて回ることが多いです。

せっかく赵云( zhào yún:趙雲 )が命をかけて救ったのになんともやりきれません。

私が観た中国の歴史ドラマの「三国(Three Kingdoms)」でも劉禅はやはり優柔不断で頼りなく描かれていました。

そんなマイナスのイメージがついて回る彼ですが、中には「乐不思蜀」の故事を違った角度で解釈している人もいて、彼が蜀なんてもうどうでもいいという風に答えたのは

彼自身がそういう“滑稽な”発言をすることで魏に対して反旗を翻すつもりは全くありませんという意思表示であると同時に、それによって自分自身はもちろん、家族や臣下たちを守ったのだと解釈する人もいるようです。

やや苦しい見方ではあるかもしれませんが、もしかしたら劉禅はそういう思いから自分をあえて滑稽に見せたのかもしれないと考えると、従来の頼りない姿とは違ってみえるのではないでしょうか。

例文

你到了国外,可不能乐不思蜀
我有一点乐不思蜀了。
这一道道美食让人乐不思蜀了。

她一到东京迪士尼就乐不思蜀了。

類義語

乐而忘返( lè ér wàng fǎn ):楽しくて帰るのを忘れること、名残を惜しむこと

乐不可支( lè bù kě zhī ): 嬉しくてたまらない、安楽なことこの上ないこと

流连忘返( liú lián wàng fǎn ):遊びにふけって帰るのを忘れる、道楽にうつつをぬかす

対義語

狐死首丘( hú sǐ shǒu qiū ):故郷を忘れないこと(キツネは死ぬ時は穴を掘って自分が生まれ育った丘に頭を向けるという故事から)

归心似箭( guī xīn sì jiàn ):帰心矢のごとし、早く帰りたいと思うこと

落叶归根( luò yè guī gēn ):落ち葉は根に帰る、[転]華僑や異郷に住む人などが故郷に戻ること

恋恋不舍( liàn liàn bù shě ):名残惜しい

イラストレーターの皆さん

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「せいじん」さん - ネコ

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