【韓国語】「효자손」背中を掻くのは“孫”ではなく“孝子”の手?!

「孫の手」の語源

中国語の故事成語に「麻姑搔背」というものがありますが、これは日本語で言うところの「麻姑掻痒」(まこそうよう)のことで

意味としては「痒いところに手が届く」「細かいところまで行き届いている」になりますが、中国語にはこの意味とは別に「分不相応の望み」「高望み」という意味もあります。

これは「麻姑搔背」のもとになった晋代に書かれた『神仙伝』という志怪小説からきています。

その昔、「麻姑」という18、9歳の仙女がいて、その爪は鳥のようであったと言われていて、ある時、彼女は地上に降りてきてもてなしを受けたのですが

酒に酔って鼻の下をのばした男が「その爪で掻いてもらったら気持ちいいだろうな」と心の中でつぶやいたところ、同席していたもうひとりの仙人がその男をムチで打ったという話になります。

そこから、中国では「麻姑搔背」には「分不相応の望み」という意味も加わることとなりました。

詳しくは以下の記事にまとめておりますので、ぜひ読んでみてくださいね。

かれこれ数百年も生きながら20歳にもなっていない麻姑ですが、「孫の手」の語源になった人物として知っている人も多いかもしれません。

単純に「麻姑の手」が訛って「孫の手」に変化したという話なのですが、その由来が一人の仙女だったというのは何か意外です。

「효자손」:孫の手

韓国語では「孫の手」を「효자손」(ヒョジャソン)というようで、漢字で書くと「孝子手」となります。

「효자」(孝子)とは、儒教で言うところの「父母によく仕える、尽くす子」のことを指しており、そういう意味では「孝子の手」とはまさに言い得て妙なのではないでしょうか。

となると、中国語で「孫の手」のことを「老头乐」(年寄りが喜ぶ)というのはどこか納得がいく気がしますし、儒教国ならではの発想かもしれません。

ちなみに儒教の影響がいまだ根強く残るといわれている韓国ですが、現代の核家族化やお年寄りに関するその他の問題の原因が「孝の喪失」にあるとして、「孝」というものをプラスに捉えてその実践を推奨しているようです。

しかしその反面、ブライダル業界では「孝」という考え方によって、夫や妻に経済的な負担はもちろん、精神的な負担をかけてしまっているということで否定的に捉えているようです。

確かに、子どもを養いながら自分の親の面倒を見て、さらに結婚相手の親の面倒を見るなんて大変ですからね。

なかにはそれが当たり前のごとく強制してくる親とかもいそうですし。

「孫の手」の歴史

そんな孫の手ですが、世界的に見たら「背中を掻く専用のもの」をいつ頃、誰が発明したのでしょうか。備忘録がてら書いてきたいと思います。

孫の手の起源は、イヌイット(カナダ北部の氷雪地帯に住む民族)にあるとされていて、もとはクジラの歯(サメの歯という記述も)を削って作られたものが最初であるとされています。

また、唐の玄宗が背中が痒いということで、臣下の「나공원」(ナゴンウォン)が献上したという話もあるみたいですが

これはいわゆる「野史」(在野の人が編纂した歴史書)に書かれているとのことなので、そもそも本当に「나공원」という臣下が実在していたのかは疑問が残るので、この話に関しては信憑性が薄いように思われます。

ただ、この「나공원」という人物の名前は、中国唐代の志怪小説である《神仙感遇传》( shén xiān gǎn yù zhuàn )という書に道士(道教を信奉し実践する人のこと)として登場するらしく

しかも、唐の玄宗の時代の話であることからこの人物を指しているのではないかと言われているようです。

ということで《神仙感遇传》を実際に見てみると、確かに「羅公遠」という人物の話が載っていました。

「羅公遠」はハングル読みすると確かに「나공원」になるのでこの人物のことを指していると思われます。

その中で羅公遠は道術(仙術)を披露したことで都へと行くことになり、そこで唐の玄宗に会うという展開になっていくようです。

また、中国では1977年に現在の山東省曲阜市にある「魯国故城遺跡」の2カ所の大きな墓で、それぞれひとつずつの「孫の手」が見つかりました。

「魯国」とは周代から戦国時代にわたって存在していた諸侯国であることから、その遺跡から発見された孫の手は実に2000年以上も前のものになります。

長さ約40㎝で象牙で作られたその孫の手は、一方の先は親指を立て残りの指が折り曲げられた形になっており、もう一方の先は「獣の頭」の形をしており、非常に精巧に作られているとのことです。

実用品としてだけでなく工芸品としての美しい外観も備えていることから、孫の手は決してこの時代に誕生したものではなく、芸術的にも価値の高いものだったことがわかります。

「backscratcher」:孫の手

ちなみに、「孫の手」は英語では「backscratcher」で、読んで字のごとく「背中をかくもの」なので覚えやすいですね。

ちなみに英和辞典を引いてみると、この「backscratcher」にはもうひとつ「見返りを期待して他人に尽くす[協力する]人」 という意味があるようです。

もとは「You scratch my back, and I’ll scratch yours.」(私の背中をかいてくれたら、私もあなたの背中をかく)に由来するようです。

その「You scratch my back, and I’ll scratch yours.」ですが、ネットで調べていくといろいろと意味があるみたいで

「困った時はお互い様」というポジティブなニュアンスもあれば、「魚心あれば水心」というちょっと打算的なニュアンスをもつこともあるみたいです。

とにかく「そっちが良くしてくれたらこっちも・・・」みたいな感じですかね。

これがきっと日本人だったら 「 I scratch your back, and you’ll scratch mine.」になっていたんだろうなと思いますけどwww

イラストレーターの皆さん

この記事を作成するに当たって使用させてもらった画像のイラストレーターさんになります。

「miho」さん - パンダ

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